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医療用電源と漏洩電流について

医療用電源と漏洩電流について

医療用電源とは、言葉の通り医療の現場で使用される電源のことで、自分で体を動かすことのできない患者や、命が関わっている機械に繋がれている患者にも使用されます。人工呼吸器や人工心肺装置、人工透析器のような機械は、一瞬たりとも電源を落とすことはできません。医療用電源とは、そのような医療機器を支える電源装置です。また、手術など電気が消えることが許されないような医療現場で、停電などが起こった場合でも、非常用電源に切り替わるまで電力を供給しなければいけません。

この医療用電源に最も求められているのが安全性です。医療機器に繋がれている患者の中には自由に体を動かすことができない人もいます。そのような患者は、漏洩電流による感電などが起こっても自分で逃げることができません。このような事態を必ず防ぐためにも医療用電源はさまざまな面から安全性が考慮されています。

 

漏洩電流とは

漏洩電流とは、ACまたはDC回路からアースや他の導体へ流れる電流を指します。医療用電源と装置などが適切に接地されていないと電流が人体を流れる恐れがあると言われています。

先ほど述べたように、医療用電源では低い漏洩電流が要求されています。皮膚だけでなく、ペースメーカーやカテーテルなどの機器や装置が経路となって、電流が漏れた時に人体に流入します。心臓に流れると生命にも直接危険が及ぶため、医療用電源はさまざまな方法で漏洩電流やそれによる感電を防いでいます。

ちなみに、医療現場における感電には以下の2種類があります。

・マクロショック:皮膚を通し感電すること
・ミクロショック:身体の中に処置した心臓カテーテルなどから直接心臓などに感電すること

ミクロショックの場合、マクロショックと比べてわずか1000分の1の電流で感電してしまうと言われています。

 

 

漏洩電流の種類

①接地漏れ電流

絶縁物の内部や表面を通って電源部から保護接地線に流れる漏洩電流のこと。

 

②外装漏れ電流

装着部を除き、正常な使用中に操作者や患者が触れる恐れのある部分から、保護接地線以外の導体を通って大地などの他の部分に流れる漏洩電流のこと。

 

③患者漏れ電流

患者機能電流を除き、装着部から患者を通って大地へ流れる、又は外部の電源からの意図しない電圧が患者に現れることによって、患者からF形絶縁装着部を通って大地へ流れる漏洩電流のこと。

 

④患者測定電流

増幅器のバイアス電流、皮膚抵抗測定のための電流などのように、患者を通して装着部の部分間に流す電流で生理学的影響を与えることを意図しない電流のこと。

 

 

医療用電源における漏洩電流の対策

①接地性能

医療用電源機器は感電を防止するために、等電位接地が施されています。等電位接地とは、導体間の電位差を低減させる接地手法のことです。例えば、検査や治療に際して心臓部への電位差発生防止があり、ベッドやその他金属部品・医療機器などを接地線で接続し、等電位にすることで、漏洩電流による感電を防止しています。ミクロショックを防止するためには、電源装置から供給される電源の漏洩電流を数十μA以下まで低減する必要があります。

 

②強度

医療現場では、手押しベッドなどの重量物がぶつかり電源に衝撃が起こるなどさまざまなケースが想定されます。そのため、医療用電源には一般用電源よりも高い強度があり、高いところから落とすなどの衝撃を与えても、再使用が可能なようにされています。また、JIS規格(JIS T 1021「医用差込接続器」)では、一般用差込接続器の JIS 規格である JIS C 8303 「配線用差込接続器」よりも高いレベルの機械的強度の要求が規定されています。

 

③耐薬品性

医療用電源は、手術や処置などに酸素、二酸化炭素、窒素、笑気(亜酸化窒素)ガスなど、さまざまなガスや薬品にさらされる可能性もあります。さらに、手術室のような高温多湿の場所もあり、腐食による金属部品の破損・電気的性能が低下することもありえます。そのため、金属部品の表面処理や絶縁材料が採用された電源タップの使用が必要とされていたり、金属部品や端子が腐食しないよう、耐薬品性が強化されたりしています。

 

④絶縁性

医用電気機器やヘルスケア機器に関連する安全規格「IEC60601」では、医用電気機器をさまざまな電気リスクから確実に保護するために「沿面距離」と「空間距離」の最小安全距離及び「絶縁電圧測定値」を規定しています。これらの規定値は二点間の距離、絶縁構造、絶縁耐力に基づき以下のように区別されています。

 

・空間距離:二つの導電性部分間の空間での最短距離
・沿面距離:二つの伝導性部分間の絶縁物の表面に沿った最短距離

 

 

 

まとめ

このように医療用電源は、一般家庭用の電源よりも高い安全性を求められています。医療現場での漏洩電流による感電は命に関わることなので、対薬品性や強度、絶縁性なの多方面から漏洩電流対策や感電対策が入念にされています。

 

 

 

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