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【ACアダプター】まるわかり選び方ガイド

【ACアダプター】まるわかり選び方ガイド

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商用電源から得られる電力は交流電源(AC)ですが、多くの電気製品は直流(DC)の電力供給を必要としています。アダプターは交流(AC)を直流(DC)へ変換し電気製品へ電力を給する外付けタイプの直流電源装置です。

本コラムではACアダプターの特長を紹介すると共に、ACアダプターを選定する際に知っておきたいことを解説いたします。

 

 

ACアダプターを使うメリット

組み込み型のスイッチング電源やトランスと比較して、ACアダプターを採用する場合の利点についていくつか例をご紹介いたします。
 

 
 
【熱問題を解決】

電子デバイスにおいて「熱」は電子部品の寿命を縮め、信頼性を低下させるだけでなく、故障や誤動作の原因となる厄介な問題です。
 
電源はその機能上、どうしても内部で熱やノイズを発生させてしまいます。筐体内部の空冷対策が十分ではない場合、その熱は筐体内部に籠り、デバイスの寿命と信頼性低下の原因になる可能性があります。
 
ACアダプターはデバイス外部で独立した電源として機能するため、筐体内部から熱やノイズの発生源を取り除く事ができ、デバイスの寿命と信頼性の向上に貢献します。

 
 
【小型化・軽量化】

電源を筐体の外に出せばデバイスの小型化・軽量化が可能になります。筐体の電源スペースを節約できるのでデザインの自由度が上がるなど利点が考えられます。

 
 

【認証取得】

電子デバイスを輸出する場合、各国または地域の定める法令や安全規格を遵守する必要があります。
 
ACアダプターは独立した電源部品として様々な安全認証を取得しておりますので、製品設計者は電源部分の安全上の問題を検討する労力を大幅に軽減できます。
 
 
【交換が簡単】

いかに高効率な電源でも熱の問題の切り離しは難しく、電源回路は他の電気回路と比較すると寿命が短く故障のリスクも多いと言わざるを得ません。もし仮に故障が発生したり寿命により動作しなくなったりした場合でも、ACアダプターなら簡単に交換する事が可能です。
 
 

ACアダプターの種類(方式)

ACアダプターは大きく分けて「リニア式」と「スイッチング式」に分かれます。それぞれ特長がありますのでご使用になる機器の特長に合わせた方式をお選びください。
 
 

 
 
【リニア式】

トランス、ダイオード、コンデンサ等の部品により、交流電源を降圧・整流・平滑化し電気製品へ直流電源を供給するアダプターです。
 
スイッチング方式と比較して構成部品が少なく、回路構成がシンプルなので安価で購入が可能です。また、電源ノイズも少ないという長所があります。
 
一方で重量があり電力変換効率が悪いといった短所もあります。現在では、省エネや小型軽量化を求められる点からスイッチング方式のアダプターが主流になっています。
 
 
【スイッチング式】

商用電源の交流を直接直流に整流し、MOSFET等のスイッチング素子により電流のオン/オフを制御し、高周波パルス電流を形成します。そしてインダクター(高周波トランス)により安定した直流電圧を出力します。
 
トランスのコアサイズはスイッチング電源の動作周波数に反比例するため、動作周波数が高くなるほどコアサイズは小さくなります。スイッチング電源は高周波パルス電流を利用するため、トランスを大幅に小さくでき、従来のリニア電源より重量と体積を大幅に低減できます。
 
また、スイッチング電源のMOSFETは飽和カットオフ状態で動作するため、発熱が少なく、また、効率も高い(75%以上)とされています。

 
 

ACアダプターの種類(形状)

次にACアダプターの種類を選んでいきます。ACアダプターの形状は大きく分けてウォールマウントタイプ、デスクトップタイプに分けられます。
 
【ウォールマウントタイプ】

 
コンセントの差込プラグがACアダプター本体に直接ついているタイプ。「壁掛けタイプ」と言われることもあります。差し込みプラグが固定式のものと、取り換えて使用できるタイプがあります。
 
 
【デスクトップタイプ】

 
ACアダプター本体とACケーブルを接続し、商用電源からの給電を行うタイプ。ACケーブルは着脱式になっていることが多く、異なるプラグ形状のケーブルに交換することで、海外での利用に対応することができます。そのためACアダプター本体とACケーブルを接続するコネクター部分(インレット)の形状も機種により異なります。
 
インレットは国際電気標準会議(IEC)により定められた「IEC60320」という技術標準に適合したものが使われています。

 
 

ACアダプターの仕向け地について

ACアダプターを海外で使用する場合、以下の3点について注意が必要です。
 
・ 商用電源の電圧/周波数
 
・ コンセント形状
 
・ 安全規格
 
日本の商用電源はAC100V(周波数50KHz/60KHz) ですが海外では110V~130V、220V~240Vの電気が供給されていますので、これらの電圧に対応していないACアダプターを使用すると、機器が正常に動作しないだけでなく故障や事故の原因となりますので注意が必要です。また、国や地域によりコンセントの形状が異なるため、仕向け地のコンセント形状に適した差し込みプラグのACアダプターが必要となります。
 
 

<海外の電圧/プラグ形状>

 

 
 

<プラグ形状見本>

 

 
 

DCプラグの選定

ACアダプターから出ている出力ケーブルと、電気製品を接続する部分の直流用プラグをDCプラグと呼びます。ACアダプターにより交流(AC)から直流(DC)に変換された電力はDCプラグから電気製品に供給されます。
 
DCプラグには国内基準であるEIAJ規格や、海外で広く使用されるもの、挿抜の保証回数が多いもの、ロック機構のついているもの等 ここでは紹介しきれないほど 様々なタイプがあります。ACアダプターから供給される電圧/電流値によっても適切なプラグが違うため選定でお悩みの際はお問い合わせください。
 
 

*画像はイメージです。詳細はスタッフまでお問い合わせください。

 
 
 

各国の規制及び安全認証制度

ACアダプターを選定頂く際に必要となる安全規格は、ACアダプターと組み合わせて使用する電気製品の、「用途」と「出荷する国や地域(仕向け地)」により判断する必要があります。
 
電気製品を輸出する場合、出荷する国/地域の法律に定められた技術基準や安全認証制度に適合する必要があります。仕向け地がお決まりの場合は、その国や地域で定められた法律や認証制度をご確認ください。
 

*世界に乱立する安全認証マーク(出典:一般社団法人電子情報技術産業協会『認証制度活用時点』(初版)一部改変)

 
 
日本の場合、電気用品の製造・輸入・販売を事業として行う場合の手続きや罰則を定めた電気用品安全法(PSE)という法律があります。ACアダプターは電気用品安全法(PSE)の対象製品ですので、国内で製造・輸入・販売を行う場合必ず、法に定められた手続き等の義務を履行し、電気用品にPSEマークを表示しなければなりません。
 
 

<特定電気用品のPSEマーク>

 

  
当社ではPSEをはじめ、各国の安全認証に詳しいスタッフが在籍しており、アダプターの安全認証を取得する代行業務も行っております。認証についてご要望やご不明な点がございましたらお気軽にお問合せください。
 
 

国際安全規格

電気製品の設計を行う上で安全性評価を行うため、適用規格を決める必要があります。
 
電気製品の基礎安全及び基本性能は、国際規格である IEC 及び ISO 規格などによって定義されています。日本では JIS 規格があり、国際規格との間で内容面での整合性が計られています。組み合わせて使用される機器の用途によりACアダプターに要求される安全規格が異なります。
 
 
医用電気機器やヘルスケア機器に使用されるACアダプターの場合、関連する安全規格「IEC60601」への適合が求められます。
IEC60601は 基本規格(60601-1)、副通則(60601-1-x)、個別規格(60601-2-x)、性能規格(60601-3-x)の4章で構成されています。
 

 
 

ACアダプター銘板ラベルの見方

ACアダプターには型番や定格、取得安全規格を表示する銘板ラベルが貼られています。
 
下図では実際の銘板ラベル図面と表示の意味を紹介しています。機種やメーカーにより表示方法や、マーク位置などは変わる場合がありますのでご了承ください。
 

<銘板ラベル見本>


 
 

まとめ

ACアダプターを選定される際は、事前に下記要求仕様がお決まりですと最適なモデルのご提案がスムーズです。その他のご要望にも最大限お応えしますので是非遠慮なくお問い合わせください。
 

 
 
いかがだったでしょうか? わかりにくい部分やもう少し詳しく聞きたい部分がありましたら、是非遠慮なくお問合せください。
 
 

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この記事を書いた人

高田 悠以(たかだ ひろい)
株式会社エスエムアイ 代表取締役
愛知県生まれ。
名古屋外国語大学卒業後、シアトル留学を経て株式会社エスエムアイに入社。
医療用絶縁トランス、スイッチング電源、ACアダプター、DC-DCコンバーター等 電源製品の開発営業として勤務。
日本のモノづくりを愛し、「お客様のお客様を満足させる事が真の顧客満足」をモットーに営業活動に従事。
2018年に株式会社エスエムアイの代表取締役に就任。

本コラムに掲載している情報は、株式会社エスエムアイの調査/収集した情報を共有する事を目的としております。掲載にあたり内容に間違いがないかできる限り注意を払いましたが、内容についていかなる表明・保証を行うものではありません。実際に機器設計や電源選定を行う際は、当資料の情報に全面的に依拠せず、最新の法令・規格・技術情報をご確認下さいますようお願い申し上げます。
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